【はじめに】
開放型酸素マスクは、簡易酸素マスクに似た形状ですが、大きな開口部を有するのが特徴です。
呼気が抜けやすくCO₂の再呼吸を防止できるため、簡易酸素マスクよりも低流量での酸素供給が可能となります。
特徴
- 開口部があることで、呼気がスムーズに排出され、CO₂の再呼吸リスクを低減します。
- 酸素供給流量は、患者の吸気流量より少ないため、吸入酸素濃度(FiO₂)は正確に調整できず、表の濃度は目安となります。
- 開口部を利用してストローを差し込み、飲水可能です。
- 会話が容易で、圧迫感が少ないため、患者の認容性(受け入れやすさ)が高いのも特徴です。
- 吸引操作もマスク装着のまま可能であり、動脈血酸素飽和度(SpO₂)の低下が簡易酸素マスクに比べて少ない傾向にあります。
酸素流量(ℓ/分) | 吸入酸素濃度の推定値(%) |
3 | 40 |
5 | 50 |
10 | 60 |
文献1より引用

アトムメディカル(株)オープンフェイスマスク(野口撮影)
使用中の観察ポイント
- マスクの装着圧を適切に調整し、顔面神経や皮膚トラブルを防止します。
- 飲水や会話が可能ですが、マスクのずれによる酸素供給の変動に注意します。
注意点
- 酸素供給流量が低すぎると、十分な酸素化が得られない場合があるため、適切な設定が重要です。
- ストローや換気孔からの空気流入量が大きい場合、吸入酸素濃度が低下するリスクがあります。
- 必要に応じて、酸素流量調整やモニタリングを適宜行うことが推奨されます。
【まとめ】
開放型酸素マスクは、
低圧迫感・高い認容性を特徴とし、
ストローでの飲水や会話が可能な利便性の高い酸素投与デバイスです。
ただし、酸素流量設定とモニタリングには十分な注意が必要です。
参考文献
- 日本呼吸ケア・リハビリテーション学会 酸素療法マニュアル作成委員会,日本呼吸器学会 肺生理専門委員会編:酸素療法の実際.酸素療法マニュアル,メディカルレビュー社,東京,2017,
- スキルアップセミナー 酸素療法の基礎からハイフローまで, 野口裕幸, 日本呼吸ケア・リハビリテーション学会誌, 32(2024)3号p.288-292
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