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肺気腫のブラとdependent lungの管理を考える

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トピックスターター
(@momotaro)
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結合: 3か月前

記述と添付画像は肺気腫とPEEP設定についてね
左側

Chest compressionを施行しているけれど、それほど大きなRise upはなかった。酸素かも良好で、画面では21%設定で換気している。その際、PCO2の拡散効率はかなり良かったので換気回数は6回で十分だった。

ここまでの記述だと肺環境はかなりいい状態のように感じると思う。良い環境になったのは、そのような患者状況になれるような設定条件を探し出して施したからなのだ。

PEEP設定を見てほしい。このケースではLow Flow PV loopPmci.i17cmH2Oだったので、その設定にした。さらにコンプライアンス値を見てほしい。なんと、253ml/cmH2Oである。普通ではあり得ない数値だ。

PEEPが17ということは機能的残気量がかなり多くなる。コンプライアンスとPEEPiの積で、その時のPEEPでの機能的残気量が算出されるが、機能的残気量が多くなると予備吸気量は減少する。そうなればdriving pressureが少なくなればなるほど一回換気量も減少する。このときのコンプライアンスが “馬鹿デカイ“ 数値だったので13cmH2ODriving pressureでも換気量が869mlにもなっている。
全体的に見るとかなり肺の柔らかい人だったと考察されるケースで、こんなのは、希中の希のケースだ。
もしかしたら肺の弾性率が低下して行く、ごく初期段階の肺気腫でこのような状況になっているのかもしれない。その場合、見た目のコンプライアンスが無茶苦茶に大きくなってしまう。健常ゴム風船肺胞が機種性嚢胞紙風船に変わっていく初期段階なのかもしれない。いい肺なのか悪くなっていく初期の段階の肺なのかはわからなかったが、こんなのはサッサとSBTに持ち込んで離脱、気管チューブ抜去とするべきで、実際にそのような経過となった。

真ん中のケースは導入時の設定で、正確なP/Fを算出するため、当初の吸入酸素濃度は100%にしている。

chest compressionでのrise up が著しい。しかしcapno wave第Ⅲ相はPlateauになっている。PEEPは当然Low Flow P-V loopで求めたPmci.iから17cmH2Oの設定が施されたケース。Driving pressure18cmH2Oとなっている。
コンプライアンス値を見てもらえばわかるとおり30ml/cmH2Oに満たない。
chest compression
後のcapno waveとコンプラアンス値から考えてCOPD、それも隠れ肺気腫であることに間違いはない。
平常状態でのEtCO234~35mmHgだが、rise up時は49mmHgであり、ここから察するPaCO2 は確実に50mmHg以上はあるはずだ。
この状況では昨日今日は始まったCOPDではなかろう。Henderson-Hasselbalch equationをしっかりと考慮したうえで換気設定を施さないと、離脱と反対方向に対象を送ってしまうことになりかねないから気をつけてね( ダメなんだよなぁ いくら言ってもO2CO2しか見ていない◎◎が多かった。石さんからの指示にpHのことが記されていない事が多かったから悪いのと、慢性呼吸不全での代償機構のことを頭の中ではわかっていても・・・・のスタッフの多い××な現場だった)

右側はSBT時の途中経過
capno wave
からCOPDであることは、もうわかるよね。
ダイナミックコンプライアンスはかなりいい値。でも今まで記したようにブラによる無効換気エリアは比較的大きな換気量であることが吸入酸素濃度設定よりうかがえる。換気量やPEEP値の割には酸素化が悪いのだ。
Flow wave
を考察すると吸気フローがサインカーブ様に変化している状況を表しているが、PEEPによって気道が開通しているためにSin Curveに近い特性が得られていると考えられる。ATC=onopen valveではなくとも、PSV flow追従性の良さはEVITAの特徴で、患者が望むフローパターンで供給可能な特性なので、このような形状になったと推測される。要するにPEEP設定値は「当たり!」なのだ。

呼気フローを見てみよう。もうおわかりだと思うが、かなり時定数が長い、ということは気道抵抗が大きいのだ。吸気側はサポートができても、呼気側では呼吸器は何も仕事をしておらず、nativeな患者の気道状態が表現される。
吸えない苦しみはPEEPで解除できているので、呼気の抵抗はBreath Hold様になっている。気管チューブ抜去後は患者が自然にその「技?」を身につけていってもらうことを願い、離脱を進めていくことになる。
気管チューブ抜去後はNHFCで管理するのがベターであることは、気道抵抗が大きいので、NPPVよりもNHFCが適正であることは、当方が何回か行ったセミナーで話してきた、が、その原理的なことを記しておく。

水を飲む際に、コップの中の水をストローで吸いあげて飲むのと、蛇口下で流れてくる水を飲むのとは明らかに労力が異なる。もちろん後者のほうが力を使わすとして水は流れ込んでくる。その原理下にあるのがNHFCなのだ。

COPD症例の人工呼吸離脱、気管チューブ抜去のサポートはNHFCが患者にとって良い働きをしてくれるのだよ。

これらを考えるにPEEP設定はLIP圧のままで良くて、SBTのため無理して虚脱域圧まで減ずる必要はないので アール。

n-hiro しぇんしぇえ 書き込み疲れました

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投稿: 45
Moderator
トピックスターター
(@momotaro)
メンバー
結合: 3か月前

画面キャプションは結構前の画像で、V500で肺気腫患者の陽圧換気中の画面。

途中chest compression を行っているのがわかると思うけれど、設定PEEP15cmH2ODriving pressure15cmH2OPIP30cmH2Oになるけれど、ブラの割合が多いので、コンプライアンスは50弱の値にだった。
chest compression
の後の吸入気の量を見ると1500ml近く入っている。PEEPを換算する必要はあるが、この際に算出されるコンプライアンスは100ml/cmH2O近くなる。PEEP:15の時との差がプラに入る量と考え(chest compressionではそれほど多くの残気量減少は望めないのでかなり少ない割合ではあるが)、EtCO2rise upを見てみるとかなりの跳ね上りである。っつうことは弾性率を失ってはいるが、ガス交換能を有している肺胞域はそれなりに残っていることがわかる。
こんな状況の患者はできるだけ速く離脱させなければならない。ブラの破綻の少ない人工呼吸療法の手法を行ってはいても、ブラは拡大する恐れがある。常に陽圧はかかっているのだ。
少しでもdependent lungを開通回復させ離脱させる努力をしなければならない。
無理な離脱は避けなければいけないが、無駄に陽圧換気を長引かせることも避けなければならない。Activeに改善させる部分が何なのかをしっかりと把握して行動しなければならんのだよ。

患者の回復力を侮ってはいけないが、患者任せでもいけない。どこを改善して、どこを容認するか、よぉ〜く考えて人工呼吸管理を行うことが重要なのではないかな?
重複するかもしれないけれど、添付図のようなケースでは、Recruitment maneuverPEEP titrationと離脱ステージ時のPEEP設定がカギとなると思う。そして気管チューブ抜去後にはNHFCは予防措置を含めて必須あいてむだと思うのじゃ。
肺気腫も含めた別件でけれど、脳神経外科では抜管後のNHFC使用で、その後の肺炎が大幅に減少したので、前例で人工呼吸離脱後にはNHFCを使ってほしいとリクエストされた経験がある。
また同じ頃に心臓血管外科でNHFC使用で術後の肺炎発症率、酸素投与期間、投与量が有意に減少したという論文を書いた医師もいた。

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