グラフィック・ディスプレイの画面波形から内が得られるか(webにあるようなありきたりな解説は期待しないでね)
最初に把握しておいてほしい事柄がある。それは世間で表現されている換気モードの呼称は便宜上であって適切とは言い切れないという事。間違っているとは断言しないが、誤った感覚で表現を用いているが故に、状態把握を混乱させている感がある。
VCVとPCVのサイクル設定はvolumeとpressureではない。両者共タイムサイクルなのだ。流速(流量)を、定められた時間に定められた方式で流すのがVCV、定められた時間内を一定圧で維持するのがPCVなのだよ。
VCVはフローが定常流型や漸減型があるけれど、設定時間と流速で送り込む(ここが重要)体積決まる。
対して一定圧を維持するために圧を細かく調整しているのがPCVで送り込む動作はしていない。気体の流れは肺や気道等の環境で決まってくる「受動的」動作なのだ。
この受動的、能動的動作を把握しておけば、グラフィックディスプレイ上の圧波形の背景が把握できてくる。VCVとPCVでは表現内容が異なっている事もわかってくる。
VCVは能動的な送り込みなので、気道や肺の状態によって波形が変化してくる。その変化はどうして起こるかを考えていけば波形の解釈も容易になるのよ。どうのような時にはどんな波形が・・・などという沢山の世間の教本や動画を見て、そしてその内容を覚えたって状態を把握しきれっこない。なぜなら前出の基本を理解できていないからだ。これは言い切れる。
定常流で流され、その上で反映される圧力が変化するのはなぜなのかを呼吸器を見ながら考えていけば答えは出てくるはず。
対してPCVは一定圧に気道内を維持するだけなので、流れる気体は受動的、要するに圧波形にはあまり大きな情報は含まれていない(自発呼吸努力のない場合)。チューブ補正がセットされている際には状況が異なるのでこの範疇から外れるけれど、PCVの気道内圧波形は能動的に作られている事を忘れないでほしい。
PCVで主に見るべき波形は圧波形のではないという事がお分かりだろう。
換気モードによって見るべきポイントが異なる事をご理解いただけたと思うが、S-IMVになると見るべきポイントが更に異なり、煩雑性が増すモードはどちらなのかz、賢い皆さんは直ぐにお分かりになると思う。
これから少しずつ臨床波形を交えて解説していくので、意見や反論があったなら、どんどん書き込んでほしい。 批判や反論は大歓迎である(Mじゃないよ)
shirokumaになったりmomotaro になったり・・・・
ネタ切れになることはないと思うけど、マイペースでお願いしますね。
ももたろ・う
VCVでの圧波形は計測されたもの。設定されたフローパターンを送り込んで、その時の気道抵抗とコンプライアンスによって算出された圧が表示されている。だからこんな時の波形は・・・・・などと考えるよりは、この時間と圧とのコンビネーションはどうしてそうなっているのか? と考えていったほうが良い。気道抵抗が高まれば当然気道内圧も高くなる。反対に・・・・反対のとおり。コンプライアンスが低くなれば、これまた気道内圧が高くなる。患者の状態で変化していくのがVCVn気道内圧。 コンプライアンスと気道抵抗の2つの成分によって変わってくるのだ。それ故圧の増減はどちらの影響なのかを把握していかなければならないが、気道抵抗成分は吸気ポーズ時のピーク圧とポーズ圧を常に監視する必要がある。その差が気道抵抗によって表現されている部分なのだよ。
コンプライアンス成分による波形の変化は全体的な圧で表現されるけれど、計測はポーズ圧を用いている。強制換気中に自発吸気努力が生じた場合には波形に変化が現れるが、それを常に把握していくのは、呼吸器の横でずっと見ていかなければならず、ぞんなことは容易いことではない。
また供給フローのパターンが、自発吸気を生じた患者の要求するパターンと合致するか否かも、常に観察して把握、場合よっては供給パターンを修正しなければならない。
要するに、VCVは筋弛緩剤を用いてガッツリ呼吸を止めているか、または病的に自発呼吸がない患者に使用するなら良いのだが、患者主体の人工呼吸方法ではないということ。
龍馬先生の10箇条にあった「患者を呼吸器に合わせるのではなく、呼吸器を患者に合わせる」 そのことを踏まえて考えるとVCVの患者との不整合性が目に見えてくる。
生体内の薬剤などの代謝は自然対数log(e)2で表されることをご存じだろうか? これは気道に圧をかけた際に肺へ流れ込む気体の特性も同じである。
フローが対数カーブを描く呼吸法はPCVであり、気道内圧はコンプライアンスにも気道抵抗にも依存しない(制御されているから)。特性が表れるのはフロー波形なのだ。 その波形には時定数が関わってくるので特性も把握しやすい。さらには呼気側のフロー波形は特に重要で、ここに換気中の様々な患者気道肺情報が表示されている。
呼気のフロー波形はVCVっもPCVも同じであるが、吸気時の肺環境の整え方が異なるので、VCVよりPCVのほうが状態把握精度は高い。
ということで、今後波形画像も交えて少しRectureしていく所存でありやす!