第3章. 人工呼吸器の適応;酸素が足りない、どうする!「酸素化障害」

息苦しいとか、酸素が足りないようなとき、あるいは術後など様々な病状に対して、酸素は投与されます。

通常、鼻カニューレや酸素マスクを使って酸素を追加することで、SpO₂(血中の酸素飽和度)は改善していきます。

また、最近ではHFNC(ハイフローセラピー)といって大量の酸素を鼻カニューレを用いて投与し、低酸素状態の改善を図ることも珍しくありません。

にもかかわらず、酸素をいくら投与してもSpO₂が上がらない、あるいはPaO₂が十分に上昇しない状態になると、「酸素化障害(oxygenation failure)」が疑われます。

これは、単純に酸素の量が足りないというより、肺胞まで酸素が届いていない、あるいは届いてもガス交換がうまくいっていないことが原因です。

とくに、ARDSや肺炎、肺水腫などでは、心不全や、炎症などにより、肺胞やその周りの間質が液体で占められ、酸素がうまく拡散できなくなるからです。

このような状態では、酸素をどれだけ高濃度で流しても限界があるため、人工呼吸器による陽圧換気で、肺胞を広げて酸素化を補助する必要が出てきます。


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