通常、呼吸のトリガー要素は、頸動脈体のPO2センサーがメインとされていますが、血中のPCO2が常に高いと、このセンサー機能が低下し、もう一つの要素であるPO2がメインとなります。
その状態で、高濃度の酸素を投与し続けると、常にPO2が高い状態にあり低下しないため、呼吸のトリガーが働かなくなります。このため高炭酸ガス血症となるわけです。 この時、意識障害を伴って、中枢神経症状を伴う状態のことを、CO2ナルコーシスト呼びます。
CO2ナルコーシスの症状を表1に示します。意識障害、高度の呼吸性アシドーシス、および自発呼吸の減弱は、CO2ナルコーシスの3主症状としてよく知られています1)。
また、PaCO2のレベルと症状を表2に示します。ここでいうPaCO2レベルとは、患者の安定した状態におけるPaCO2のレベルからの変化を示します。
・頭痛、振戦、痙攣、傾眠 ・発汗著明 ・意識障害 ・自発呼吸減弱 |
PaCO2 レベル | 症状 |
+5〜10 Torr | 手の温もり、 脈圧の増大、高血圧、縮瞳、頸動脈 |
+15 Torr | 傾眠、発汗 振戦 腱反射の低下 |
+30 Torr | 昏睡 激しい頭痛、悪心 |
参考サイト
1)酸素療法NAVI、監修;横山俊樹、酸素療法で注意すべきCO2ナルコーシス、https://www.atomed.co.jp/openfacemask/column/08/
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