人工呼吸器Web教科書

【はじめに】〜学生と現場をつなぐWeb教科書〜

人工呼吸器を学ぶ学生や若手スタッフにとって、
本当に「ゼロから」わかる教材は、驚くほど少ない。

臨床の専門家が書いた専門書は、実践的ではあっても、
読む人が“そのレベル”に到達していることを前提に書かれている。
一方で、教育者が書く資料には、実臨床の経験が欠けていることも少なくない。

臨床の専門家は、教育者ではないことが多い。
また、逆もしかりである。

そして何より、学生目線で書かれた教材が、ほとんど存在しない。

「これくらいの物理はわかっているだろう」
「化学や生理学の知識はある前提で」
そういった“暗黙の了解”がある教科書では、
多くの学生が途中でつまずくのも当然かもしれません。

教科書が追いつかない現場

現在流通している多くの出版本の教科書は、
6〜10年に一度の改訂が一般的です。

しかし、その間にも

  • 人工呼吸器の進化
  • 呼吸療法の新しい知見
  • 管理手法やトラブル対応の考え方

は着実に変化し続けています。

そのギャップに気づくのは、臨床実習に出たとき、あるいは卒業後。
「教科書と違う」「教わってない」
そう感じたことのある人も少なくないはずです。

CEという職業の“定義”と“現実”

臨床工学技士(CE)の業務は、「機器管理」とされます。
しかし現場では、

  • 患者の状態観察
  • 設定の提案や判断の補助
  • 医師・看護師との連携
  • 急変時の対応

といった、定義だけでは語れない“臨床の中での立ち位置”が求められます。

けれど、それを教科書から学ぶことはほとんどできません。
現場に出て初めて「そうだったのか」と気づくのです。

限界を知りつつ、書くという選択

出版本を書いている人の多くは、専門家です。
しかし、どれほど優れた専門家であっても、
その筆者の知識を超えることはできません。

さらに、それを平易に書き下ろす力はまた別のものです。
専門用語をかみ砕き、読みやすい文章に落とし込む作業は、
決して簡単なことではありません。

だから私は、
臨床工学技士を目指す学生
呼吸療法に携わる看護師・理学療法士
三学会呼吸療法認定士の取得を考えている方
に向けて、この記事をWebで公開することにしました。

このWeb教科書の特徴

  • 紙媒体ではなくWeb限定で提供
  • 随時手直し・加筆・修正を加え、常にアップデート
  • 図や比喩を多用し、初学者に寄り添った構成

これは、「すべてを知っている人の教科書」ではなく、
いま学びながら、明日現場に出る人のための“生きた教科書”です。

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このまま順に読み進めるもよし、必要なところだけ拾い読みするもよし。
自分のペースで進んでください。
「わかる」から「できる」へ、少しずつ歩んでいきましょう。


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